距離減衰
騒音のレベルを減衰させるために、最もシンプルな方法は音源と受音点の距離を離すことです。
図-1は音源の種類ごとの距離による幾何的な減衰量を示したものになります。
図-1 音源の種類ごとの距離による減衰量
この距離減衰の計算式は、音源の種類ごとに以下のようになります。
1. 点音源からの距離減衰
自由空間にある音響パワー$W$のパワーレベルを$L_W$、点音源から距離$d$離れた点における音圧レベルを$L$とすると、
\[ L=L_W-11-20 \log d \tag{1} \]
と表すことができる。
また、半自由空間では
\[ L=L_W-8-20 \log d \tag{2} \]
となる。
ここで、点音源から$d1$、$d2$(m)離れた2地点の音圧レベルは、
\[ L_2-L_1=-20 \log \frac{d_2}{d_1} \tag{3} \]
\[ L_2=L_1-20 \log \frac{d_2}{d_1} \tag{4} \]
となり、距離$d$が2倍になるごとに6dB減衰することがわかります。
2. 線音源からの距離減衰
無限に長い線状の音源の場合には、
\[ L=L_W-8-10 \log d \tag{5} \]
となり、距離が2倍になるごとに3dBの減衰をします。
有限の長さの線音源の場合には、その長さを$l$すると、
$\frac{l}{\pi}$までは、距離が倍になるごとに3dB減衰し、それ以降は点音源と同様に倍距離で6倍減衰するようになります。
3. 面音源からの距離減衰
音源が十分に広い面的な音源の場合、音源の正面において、距離減衰は起きません。
有限の面音源の場合、短辺を$a$(m)、長辺を$b$(m)とすると、
距離が$\frac{a}{\pi}$(m)までは、距離減衰無し、
距離が$\frac{b}{\pi}$(m)までは、線音源的な減衰特性、
距離が$\frac{b}{\pi}$(m)以降は、点音源的な減衰特性となります。
指向係数Q
点音源が反射面などの影響を受けない音場(自由音場)にある場合、指向係数Q=1となります。
点音源が、大きな反射面に近傍に置かれている際には、
指向係数は、以下の簡易的な方法で設定されることがあります。
- 1つの反射近傍に存在:$Q=2$
- 2つの反射面が直交する交点近くに存在:$Q=4$
- 3つの反射面が直交する隅角近くに存在:$Q=8$
これらをまとめたものを図-2に示します。
図-2 音源と反射面の位置関係による指向係数$Q$