質量則
面積が十分に広い均質な壁を仮定したとき、その壁の透過損失は(1)式および(2)式で表せられます。
(1)式は垂直入射透過損失、(2)式はランダム入射透過損失を表し、一般的な部屋での状況を想定する場合はランダム入射がより即していると考えられます。
この式は質量則と呼ばれており、面密度の高い壁ほど、高い透過損失が得られるということが分かります。遮音性能の高い壁としたい場合には、できるだけ比重の大きい材料を使った方が良いということになります。
ただし、透過損失は面密度に対して対数的に増加するため、元々面密度が高い壁を改善しようと考える場合には、効果的ではありません。
上図は、(2)式に周波数f=500Hzを仮定した場合でのグラフです。
面密度が20kg/㎡から40kg/㎡に+20kg/㎡とした場合には約5dBの改善効果が見込まれますが、100kg/㎡から120kg/㎡に+20kg/㎡とした場合には約1.5dBの改善効果しか見込まれません。
実際の建築仕様としては壁の質量を増やすだけではなく、遮音層を複数設けたり、吸音材を併用するなどの遮音仕様の検討が必要になってきます。
また質量則はあくまで理論式の1つであり、その他様々な要因によりずれが生じるため、この理論のみで予測計算を行うことは困難です。