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遮音性能を高める方法

建築音響
ここでは、建築物の遮音性能の基本的な考え方をご紹介します。

質量則

面積が十分に広い均質な壁を仮定したとき、その壁の透過損失は(1)式および(2)式で表せられます。
(1)式は垂直入射透過損失、(2)式はランダム入射透過損失を表し、一般的な部屋での状況を想定する場合はランダム入射がより即していると考えられます。

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この式は質量則と呼ばれており、面密度の高い壁ほど、高い透過損失が得られるということが分かります。遮音性能の高い壁としたい場合には、できるだけ比重の大きい材料を使った方が良いということになります。
ただし、透過損失は面密度に対して対数的に増加するため、元々面密度が高い壁を改善しようと考える場合には、効果的ではありません。
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上図は、(2)式に周波数f=500Hzを仮定した場合でのグラフです。
面密度が20kg/㎡から40kg/㎡に+20kg/㎡とした場合には約5dBの改善効果が見込まれますが、100kg/㎡から120kg/㎡に+20kg/㎡とした場合には約1.5dBの改善効果しか見込まれません。
実際の建築仕様としては壁の質量を増やすだけではなく、遮音層を複数設けたり、吸音材を併用するなどの遮音仕様の検討が必要になってきます。
また質量則はあくまで理論式の1つであり、その他様々な要因によりずれが生じるため、この理論のみで予測計算を行うことは困難です。

固体伝播音

質量則は、空気を伝播する音を前提としていますが、建物の構造体などの固体の振動が伝わる固体伝播音も存在しています。
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例えばジャンプした時の衝撃や、家具を引きずった際に発生する振動は、直接構造体を加振し伝達されます。伝達された振動は他の部屋の空気中に放射され、音として認識されます。

固体伝播音を低減するためには、制振材や制振装置などで振動エネルギーを吸収する方法や、防振材を用いて振動の伝達を抑制する方法などがあります。

防振構造

構造体から防振材を介して建築部材を支持する構造を浮構造と呼んでいます。たとえば防振ハンガーを介して支持された遮音天井は「防振遮音天井」や「浮遮音天井」、防振ゴムで支持された床は「防振床」や「浮床」と呼ばれます。
床や天井などを、防振材を介して支持することにより固体伝播音の伝達を抑制し、床衝撃音などの低減をすることができ、さらに高い遮音性能も実現することができます。

床・壁・天井を全て防振支持とした場合、室の中にさらに周囲と絶縁された室を造ることから「BOX in BOX」構造と呼ばれることもあります。
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各防振材は、製品種類や荷重条件などによって発揮される防振性能が変わってくるため、適切な選定作業が必要です。

製品:BOX in BOX

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