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騒音対策の実務においてよくあるお問い合わせ

2024.11.01

今回のコラムは、騒音対策の実務を通してよくあるお問い合わせについてまとめました。

1. 防音壁の高さと性能について

Q 「防音壁の高さを上げずに性能を上げて騒音対策の効果を上げたい」

 屋外の騒音対策手法の中でも、防音壁を用いた対策はよくある対策の一つです。防音壁を設置した場合に計算点に到達する音は、防音壁上端を回り込んで伝わる回折音と防音壁を透過する透過音の二つがあります。防音壁の高さに関係するのが回折音遮音性能に関係するのが透過音ですが、多くは回折音の影響が大きいため遮音性能を高めても防音壁の対策効果は変わりません。
 ですが、高さ制限などによりどうしてもこれ以上防音壁の高さを上げられないということもあると思います。そこで、おすすめの商品が先端改良型の減音装置「E-fX」になります。これはエッジ効果と呼ばれる、防音壁上端を回り込む空気の粒子速度を制御することで回折音を小さくする製品です。このように、防音壁の高さをあまり高くせずに回折音を小さくできる製品もございますので、是非ご検討ください。

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2. 忍び返しについて

Q「防音壁の先端を内側に折り曲げて騒音対策の効果を上げたい」

 防音壁を設置しても規制値を満足できない場合、「防音壁の先端を内側に折り曲げてください」というご依頼も大変よくいただきます。防音壁の先端を内側に折り曲げる(忍び返しをつける)と、折り曲げない場合と比べて回折点が音源側になるため、経路差が大きくなり確かに防音壁の設置効果は大きくなります。ただ、忍び返しをつけたからと言っても、3dBも落ちる場合は滅多にありません。一般的な大きさの忍び返しであればせいぜい1dB程度の減衰量であることが多く、忍び返しのない防音壁と比べて費用もかさみます。そもそも忍び返しの検討をする以前に基本的に防音壁の高さが足りない場合や、防音壁で対策できる範囲を超えている場合が多いです(一般的な実務では、回折減衰量は最大25dBとして計算することが多いです)。そのため、防音壁に忍び返しをつけることは効果がないとは言えませんが、費用をかけたなりに大きな効果が得られるかというとそうではないことが多いです。

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3. 吸音と遮音について

Q「防音壁より遮音性能の高いコンクリート壁を用いて騒音対策の効果を上げたい」

 騒音対策を行う上で吸音遮音は共に欠かせない要素となります。吸音は室内(囲われた空間内)の反射音を抑える遮音は外部へ透過する音を抑える効果があります。吸音材だけでは反射音を抑えることはできても遮音性能を高めることはできませんし、逆に騒音源を防音壁で囲った場合でも、内側(音源側)が反射性の材料で囲われている場合は防音壁の内側で発生する反射音により防音壁の設置効果が低減してしまいます。そのため、吸音と遮音の両方を兼ね備えた防音壁を用いて騒音対策を行うのが適切です

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4. 機器の稼働条件について

Q「機器を5台運転停止させて騒音値を小さくしたい」

 騒音対策において、機器側の稼働台数や稼働率を調整して敷地境界線上の規制値を満足したいといったお問い合わせもよくいただきます。ですが、「機器10台のうち5台を運転停止」とした場合は騒音値が3dB小さくなりますが、「機器50台のうち5台を運転停止」としても、騒音値としては0.5dBしか小さくなりません。そのため、一概に機器を5台運転停止にするといっても、元々の機器の台数によって意味が大きく異なるのが注意点です「機器〇台を停止する」ということがポイントなのではなく、「機器〇台のうち△台を停止する」というのがポイントになります。なお、この方法で騒音値を落とそうと思うと、かなりの台数を運転停止にしたり稼働率を落としたりしなければならず、そもそも必要な空調性能が確保できなくなるなどの問題が発生する可能性もあるので、過度な期待は禁物です。

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おわりに

 以上、簡単に騒音対策の実務で問われる内容と、その考え方について簡単にご紹介しました。
 今回の実例に関して以下の通りにまとめておきます。

防音壁を設置する場合は、基本的に透過音よりも回折音の影響の方が大きいため、十分な防音壁の高さが必要になる
吸音と遮音の両方の性能を兼ね備えた防音壁を用いて騒音対策する
稼働している機器の台数を調整して騒音値を小さくする場合は、元々の稼働台数によって意味が大きく異なる

 また、最近弊社へのお問い合わせとして多いのは、「物流センター」「データセンター」に関する騒音対策のご相談です。これらの騒音対策についても事前検討から設計・施工まで一貫して実施いたしますので、是非お問い合わせください。

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