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防音室の内装設計時に考慮すべきこと    (建築基準法)

2024.08.09

防音室の内装設計時に考慮すべき法規について、
過去の施工物件を例としながら簡単にご紹介します。

今回例とする施工物件は、既存ビルの1Fに防音室を新設した計画です。
ビル概要としては、用途:事務所ビル、規模(延床面積):約3,100㎡、建物高さ:約25m です。
今回考慮すべき法規には、建物の用途・規模の内容も関わってきます。

➊まず、建物の用途・規模、無窓居室に関連する内装制限の検討(建築基準法施行令第128条-3-2)を行います。
ここで「内装制限」とは…
 壁、天井を準不燃材以上または難燃材以上で仕上げなければならない(壁、天井の内装を燃えにくい仕上げとしなければならない)  という内容です。

 内装制限が適用される条件としては…
 特殊建築物、大規模建築物、火器使用室、排煙上の無窓居室 に大別されます。
 上記4種類それぞれについて内装制限が適用される場合の条件が規定されています。

ここで「排煙上の無窓居室」とは…(令第116条-2)
 次の①②いずれかに該当する居室であること
 ①排煙上有効な開口(天井より下80cmまでに設けられるもの)<床面積×1/50
 ②床面積>50㎡

→今回の施工計画では上記の無窓居室に該当するため、内装制限が適用されます。
 無窓居室に該当する場合の内装制限内容としては、壁、天井を準不燃材以上で仕上げなければなりません。

❷次に、排煙設備の設置検討(令第126条-2)です。

 次のいずれかに該当する居室である場合は、排煙設備を設置しなくても良い(国土交通省告示1436号)と定められています。
 ①準耐火構造の床・壁、防火設備で区画され、壁・天井が準不燃材で仕上げられている
 ②床面積≦100㎡で、壁・天井の下地・仕上げが不燃材で造られている

→今回は入居するビルの規定上、排煙設備を設ける場合は自然排煙のみで対応する必要がありました(機械排煙NG)。
 自然排煙の場合は窓際に対象室が計画する必要がありますが、今回はその配置が難しかったため、上記②に該当するように計画しました。

❸また、無窓居室に関するそのほかの検討(採光上、避難上)(法第35条-3、令第111条)を行っていきます。

 次のどちらかに該当する居室である場合は、主要構造部を耐火構造とするか、壁・天井の下地・仕上げを不燃材で造らなければならない と定められています。
 ①採光上有効な開口部<床面積×1/20
 ②直径1mの円が内接できる窓 または 高さ120cm以上および幅75cm以上の窓 が無い

→今回の施工計画では上記に該当するため、制限が適用されます。今回は壁・天井の下地・仕上げを不燃材で造る計画としました。

❹最後に、避難距離による内装制限(令第120条)を検討します。

 今回の施工計画のような無窓居室の場合、30m以内と定められます。
 主要構造部が準耐火構造または不燃材で造ることによって避難距離を延ばすことが可能となるケースもありますが、無窓居室ではどちらも30m以内となります。

今回の施工計画では規定値以内で計画することが可能でした。

以上のように検討して、今回の施工物件では、対象室の壁・天井の下地・仕上げを不燃材で造る計画として下地の構成や仕上げ材を決定していきました。
使用できる内装仕上げ材に制限がある中であっても、対象室内での音の聞こえ方をより良いものにできるよう設計していくことが重要になります。

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